【コラム】コンビニのプライベートブランドが高品質な理由と仕組み

コンビニのプライベートブランドはパッケージも簡素でダサい。安かろう悪かろうなのでは。
いいえ。
確かに10年前はイマイチなイメージだったが、現在はかなり高品質な商品が揃っている。
何故、高品質だと言い切れるか。それは一流メーカーが作っているから。
セブンプレミアムの裏を見ればわかるが、「この商品は△△との共同開発…」と記載されており、その△△に入る会社は誰もが知っている超有名会社であることが多い。
しかも、表示成分を比べても、ほぼ同じ原材料を使用している場合が非常に多い。メーカーはセブンのオリジナル商品に自社のノウハウをそのまま流用している訳。
味がほとんど変わらないのに、PBの方が安いという不思議な事が起こる原因は、メーカーとコンビニとの崩れつつあるビジネスの力関係にある。

俺らのオリジナル商品を作りたいから、破格で協力してよ。

嫌だわ。俺らの商品の隣に、俺らが作ったリーズナブルなPB商品を並べられるとか意味わからないわ。自滅か。

ふーん。なら、あなた方の商品の陳列棚を極小にしましょうか。

止めてください。ぜひ我々に協力させてください。安くします。その代わり、私たちの商品は取り扱ってください。
メーカーは自前の売り場を持っていないため、スーパーやコンビニに取り扱ってもらえない場合は、最悪倒産の危機。コンビニやスーパーといった小売りがいるから商売出来るという訳。だから、このように安く作ってあげなければならない。
コスト削減の手段はこれだけではない。
今までは、売れ残り分はメーカーが回収しメーカーの負担となる契約が多かった。そしてメーカーは、ロスを見越した分定価を付けていたわけで、結局は、間接的に消費者にツケが回ってきていた。
PBの場合は、流石にロス分はコンビニ側の責任とはいえ、

消費期限が切れそうだから、売れ行きが好調のA店に運ぼう。
と、ロスの削減が可能になり、更に値段を安くすることが出来る背景もも。実際にセブンが行っているかは不明だが、小売りがメーカーも兼ねた(=コンビニという存在)状況では、理屈ではこのような事も可能に。

260円の明治の美味しい牛乳の横に、雪印の作る200円のセブンプレミアム牛乳を置いて喧嘩を売るところに更なる闇を感じる…
ところで、

セブンプレミアムには無名の企業が作ったものもあるけども、それは美味しくないの?
これ以上は長くなるので、記事の最後に続きを。そろそろ本題に入りましょうか。
お弁当のおすすめ
もつ煮ライス
税込み498円。
あんまりにもハマり過ぎて、一時期は週6で食べていた。冬になると販売されるが、2019年の冬は存在を確認することができなかった。もしかして、なくしてしまったのか、セブンよ。
白米、スープ、もつ煮、こんにゃく、というシンプルな構成だが、このスープが濃厚で非常に美味しい。
スープと言えども、おでんの汁のように薄い出汁ではなく、もつ煮の汁を濃縮したような濃い味。ご飯に少しかけるだけで、幾らでも食べれてしまう。
セパレートタイプになっており、カレーのようにご飯にかけても良し、スプーンですくいながらご飯とスープを交互に嗜むのも良し。ワンコインで食べれるなんて感動。
店頭で並んでいるもつ煮ライスは「スープがたっぷり」にはとても見えないが、
レンジで温めると、たちまちスープが溢れ出る。
ただし、かなり原始的な方法で作られているのか、お弁当毎にコンニャクともつ煮の割合のバラツキが激しい。
コンニャクが1個の場合もあれば、7個も入っていた時もある。コンニャクが1個の場合は、その分、もつ煮も多い可能性が高いので、店頭で買う場合は吟味しよう。ちなみに吟味の難易度はかなり高い。
週6で食べれば、バラツキさえも愛おしくなってくる。画像のもつ煮ライスは、コンニャクが1個という貴重な例。
何故だか箸を付けてくれる店員が多いが、カレーと同じでスプーンが無いと食べ辛い。
四川風黒麻婆丼
税込み398円。
元から程よく辛いが、付属の花椒をかけると「麻」の辛さが食欲を刺激。あんまり食欲が無い時でもペロッと食べきれてしまう。ひき肉もたっぷり。

本格的な中華料理屋さんで食べる麻婆豆腐というよりは、日本人好みに仕上げた感じ。
物凄く辛いという訳ではないが、付属の花椒をかけると汗がじわじわ出る感じ。
ところで、「麻」の辛さによる汗って、何か清々しさみたいなものを感じるよね。

2019年にリニューアルし、かなり明るい色になった。少しだけ辛さが減ったかな。でも、見た目ほどは変わらなかった記憶。
398円はコンビニ弁当の中でも地味に安くてリーマンに優しいのだ。
会社の同期に布教した結果、結構皆はまってるから万人受けする味なんだと思う。
おつまみのおすすめ
スモークタン
税込み213円。

語彙力ないが、最高のおつまみダゼ。タンってなんであんなに美味しいんだろうね。
タンが75gも入ってこの価格なら最高にコスパ良い。
レモンの爽やかさとタンのコリコリは、酎ハイも良いが、まずビールと一緒に試してほしい。ビールとの相性は最高である。350ml缶に丁度良い量だ。
明太マヨしたらば
税込み108円。
柔らかくほろほろとした、高級版カニカマと言っても差し支えない魚肉に、チーズとたっぷりの明太マヨソースがぎっしり詰まっている。
製造会社は紀文という魚肉練り製品でトップシェアの大企業。どこのスーパーでも確実に紀文の商品を取り扱っている。
袋を容器代わりに食べられるのでお皿を汚さず、一人暮らしにはありがたい。が、底に魚肉の水分が溜まっているので、食べる際には注意が必要。
おつまみに最適だが、複数人でシェアするのにはあんまり向いていない。

サラダに散らしても美味しいかも。
穂先メンマ
税込み128円。
酒のつまみにぴったり。

地元で人気な中華屋さんで出てくる味だ。
全体的にごま油がきいており、ピリ辛味とは書いているが、そこまで辛くはない。
かなりシンプルな味付けだが、安いメンマにありがちな変な臭いは一切ないので、品質にもかなり拘っていると感じる。硬すぎず柔らかすぎず、変な筋もないから食べやすい。

350㎖缶にちょうど良いサイズ。
ザーサイ炒め
税込み128円。
メンマと双璧をなす、酒のおつまみ。価格も量も全く同じなので、どちらを購入するか悩むところ。
メンマより更に辛くない。物凄く良く味わえば、ちょっぴり甘いくらい。柔らかく、こりこりシャキシャキ感のミックス。

ごま油好きならメンマ。辛いのが苦手ならザーサイを選ぼう。
パンのおすすめ
ブリトーWウインナー&タコスミート
税込み240円。
もはやコンビニ業界では定番かもしれない、ブリトー。
全4種類あるようだが、個人的にはこの、ウィンナーブリトーをおすすめ。
製造者は、業界では知らない人はいないレベルの大企業、伊藤ハム。

便宜上パンにまとめたが、ブリトー(そうざい)らしい。
贅沢に2本のウィンナーが入っている。チーズも少し入っている。

地味に結構辛いから、飲み物は必須。
また、電子レンジでの過熱がマストだが、切り込みを入れなければならないためか店員に若干の躊躇がみられ、「温めますか」と向こうから聞いてくる確率が低い。
サラダのおすすめ
彩り大根ミックス
税込み138円。
「野菜嫌いだが、健康のために取らなければ」と思う人に特におすすめ。セブンには多くの種類のカット野菜が販売されているが、これが最も野菜嫌いに適していると思う。
彩りのバランスが良い上、かなり細かくカットされているため、野菜独特の味が薄れており食べやすい。
大根が入っている分、ボリュームもある。洗わずに食べられるため、面倒くさがり屋な一人暮らしにも便利。一方で、器に盛ればそれなりにお洒落になり、攻守万能なカット野菜。
なお、ドレッシングは付いていないため、付近にあるセブンプレミアムの1食用のドレッシングを買おう。和風、塩チョレギ、ごま、どれも20円から30円で買える。
ドレッシングをかけて器に盛る。大根のみずみずしいシャキシャキ感がたまらない。
ポテトサラダ
税込み127円。
サラダに分類するかは悩んだが、名前にサラダが入っているのでサラダに違いない。とにかく原材料名を見て欲しいのだが、シンプルな味付けで余計な物は一切加えていない素材そのものの味。

まさに家で作るポテトサラダの味。
晩酌のお供にするのであれば、少し味が薄く感じるかもしれないが、夕ご飯に出てきたら泣いて喜ぶ。ジャガイモらしくほっこりする、丁度良い濃さ。
正直、濃い味付けにすれば誰でも美味しいポテサラは作れるのだが、このシンプルさで美味しいのは流石といえる。
標準サイズのお茶碗に盛った様子。じゃがいもメイン。人参や玉ねぎはそこまで多く入っている訳ではないので、野菜嫌いの子供にもおすすめ出来る。
玉ねぎの臭みや辛さは一切ないから、しっかり下ごしらえがされているのだと思われる。
サラダチキン(スモーク)
税込み213円。
コンビニではお馴染みのサラダチキン。
脂質が少なく、たんぱく質が豊富なため、運動する人にもうってつけ。ダイエット食としても人気。そして、美味しい。
プレーン味や、ハーブ味もあるが、スモーク味は燻製が程よく効いていて一番美味しいと思うから、いつも別の味を買っている人は試しに1度買ってみて欲しい。
個体によって燻製の色が若干違うから、店員に怒られない程度に好みを選別しよう。
サラダチキンバー
税込み159円。
サラダチキンに一本満足バーバージョンが誕生。
パッケージに記載通り、片手で食べられるので、気軽にたんぱく質を取れる。
ちなみに、上で挙げたサラダチキンよりも美味しい。
というのも、通常のサラダチキンがチキンまるまるに対して、バーの方は鶏ささみの繊維がほぐれているので柔らかいし(通常のサラダチキンがステーキだとしたら、サラダチキンバーはハンバーグである、という例え方なら伝わるであろうか)、内部までより味が染みていて、より食べやすくなっている。使用している調味料も、より増えている。
ドリンクのおすすめ
茶葉香るティーラテ
税込み142円。
守山乳業という日本で初めてコーヒー牛乳を発売した老舗が作ったティーラテ。
どうやら紅茶とミルクを別々に抽出して合わせるのではなく、ミルクで紅茶を抽出する方法を取っているらしい。だから、非常にミルクが濃い。
無香料かつ、アッサム、セイロン、ダージリンの3種類の茶葉をブレンドするという拘り。
これなら「茶葉香る」と謳うのも許せる。
紙パック500㎖100円のミルクティーとは原材料からして全く別物の味だから、ミルクティー好きはぜひ。

2019年は見た目がオシャレに変更した模様。セブンプレミアムから初めて守山乳業のオリジナル商品として扱われ始めた模様。
お菓子のおすすめ
チーズ風味の明太もんじゃ
税込み108円。
完全にどこかで見かけたことのあるような中身だが、それもそのはず、製造会社はベビースターラーメンでお馴染みのおやつカンパニー。
おやつカンパニーの製品は基本的に味付けが濃いので、こちらの製品も濃い。
「スナック菓子を食べているな」
「ジャンキーで身体に悪いものを食べているな」
そのような罪悪感を感じながらも、手が止まらない。
1個2個目はまだ明太子の味を感じられるが、そのうち味覚がバグり、最後の方は「ベビースターの何かを食べているのだろう」という感覚に陥る。
濃い味が好き、スナック菓子が好き、ベビースターが好き、であれば、まず間違いない。ただ、地味にニオイがかなり残るので、人と会う前に食べるのは控えた方が良いかもしれない。

ニオイが気になるときは隣に並んでいるソースもんじゃ味がおすすめ。スナック菓子のニオイはするけど、まだマシ。
アイスのおすすめ
ワッフルコーン
税込み183円。
画像はチョコ&バニラだが、もちろんミルクバニラも販売されている。ちなみにチョコミントだったり、ストロベリー&チーズだったり、期間限定で販売される味もある。
個人的には、コンビニ3社の中で、セブンのソフトクリームが最も美味しい。
セブンのソフトクリームはガリガリ君でお馴染みの赤城乳業が製造している。ガリガリ君という氷菓で有名だが、流石に乳業と言うだけあり、ミルク系のアイスにも強い。
ミルクが濃厚だが、後味がくどすぎもせずに丁度良い。そして、何よりもワッフルが非常に美味しい。
どういう製造方法かはわからないが、お店で食べるような出来立てのサクサクさと、それだけではないしっとりとした食感が両立しているのだ。食べていけばいくほど、最後まで食べる愉しみが待ち遠しい。
今回はミルク&チョコをチョイスしたが、ミルクの濃厚さを単体で味わえるミルクの方が、個人的には好きかもしれない。
【コラム】コンビニのプライベートブランドが高品質な理由と仕組みの続き

セブンプレミアムには無名の企業が作ったものもあるけども、それは美味しくないの?
冒頭で説明した通り、コンビニのプライベートブランドは一流メーカーが製造している場合が多く、全体的に品質が高い事は理解したと思う。
しかし、特にセブンは、誰も知らないようなメーカーがPBを作っている場合も多い。それは、美味しくないのか。

いいえ。無名メーカーが担当していても高品質である場合が多い。
メーカー業界内での無名メーカーの立ち位置を知ることで仕組みが理解できる。
一般的に、スーパーやコンビニは有名メーカーの商品を扱うが、無名メーカーの商品に関しては慎重。なぜなら、消費者に売れないから。
有名メーカーは自社製品を置いてもらうのに苦労しないが、無名メーカーの営業は相当苦労しているはず。取り扱ってもらえるお店が無ければ、当然メーカーの利益は生まれない。
その状況で

俺らのオリジナル商品作りたいから、破格で協力してよ。
と相談を受けた際、嬉しい事には間違いない。
なぜなら、普段であれば大手コンビニチェーン店には取り扱ってすら貰えない上、営業に苦労している中、全国規模の製造受注がポンと入ってくるから。一方で、

品質を更に高めて欲しい。でも、今よりも安く製造して欲しい。

これ以上は流石に厳しいよ。

なら、契約を打ち切るよ。別の会社にお願いするから。

ヒェ…
大規模受注に対応するために工場も新設した無名メーカー側からすれば大惨事。
バランス関係を慎重に保たなければビジネスとして食べていけない訳で、PBの劇的増加に対してメーカーは非常に苦労しているのが現状。
このままメーカーが打開策を見つけ出さなければ、遠くない未来コンビニはPBだけの取り扱いになるのではないか、と個人的には予測している。