就活で業界研究を最重要視するべき理由
就活を最近始めた大学生の皆さんは

そもそも何をしたら良いのかわからない。やり方もわからない。
と悩んだ挙句
をひたすら一生懸命に調べることが多いかもしれません。
それ自体は全く悪いことではありません。
むしろ、自分で主体的に情報を取捨選択しながら行動することは良い事。
(ひたすら自己分析の仕方を調べたり、参考書のレビュー記事が仕上がるほど吟味したり、つまりは勉強法の勉強だけに囚われない限りは。)
ただ世の中には極端に「自己分析だけしていれば大丈夫」のような極端な意見も多く、業界研究に関しては軽視されがちなのではと感じています。
その背景としては、テキトーに調べたらなんとなくわかった気になるから。
とはいえ、業界研究は自己分析やESの上手な書き方に大きく影響を与えているのではないか。
入社してから

思っていたのと仕事内容が違った

仕事内容が性格に合わない

仕事が辛いのはある程度は覚悟していたけど、想像以上で耐えられない
最近はこのような入社前とのギャップが理由で辞める人も多いという現状。
その多くの場合

就活の頃に自己分析をしっかりとしておけば良かった…
と理由付けられていますが、果たして本当に自己分析だけが原因か。

恐らく、業界や職種に対する認識、知識が甘かったんじゃないかな
極端な話ですが、たとえ自己分析を一切しなくとも、例えば社員と全く同じ一日を経験すれば感覚で理解できるはず。「あ、自分には合わない」と。
職種に対する認識がほぼ完璧であれば

いくら大手に入りたいと思っていても、この職種は無理…
感覚というより、もはや生理的にわかりますよね。初期の段階で無駄なミスマッチを避けられます。
ですのでこの記事では、再現性と手軽さを重視した業界研究の方法を紹介したいと思います。初めは浅く、次第に深くといった段階的にステップアップしていく順番が重要。
【初級】業界地図を活用する
業界地図は「今までの既成観念にとらわれずに、世の中の職種には何があるのかを知る」ことに役立ちます。
少し抽象的な表現に補足を。
今までの既成観念とは、つまり

自分はメーカーで営業やりたいな。たぶん営業向きだ。

よくわからないけど、証券は絶対に向いてない。知識なんて全くないし。

職種は何でも良い。ネームバリューと給料が良い企業なら何処でも良い。
といった、凝り固まった考えのこと。
何故これが良くないのか。

曲がりなりにも就活の軸をしっかりと持っているんだから良いじゃないか
と思うかもしれません。
が、それとは別の観点として
短期決戦と言われる就活では仕方のない部分ではありますが、深く考える時間を取らずに「自分の軸はこれだ」と決めつけてしまう人にありがちなのが、いわゆる内定ブルー。
「就活中に出会わなかっただけで、自分にもっと合った職業があったんじゃないか」
と、就職留年を選ぶ人も少なくないです。
ここでは多くは語りませんが、これが原因で自分は実際に就職留年をしています。ちなみに2年目は、1年目には見向きをしなかった業界に絞って満足して内定を頂きました。
業界全体を知ることで
「ディベロッパーも面白そうだけど、やっぱり自分の気持ちはSEかな」
と、納得して就活を進めることが出来ます。

納得して就活を終えるという過程は非常に大切。
もちろん、どれだけ業界研究を深くこなせたとしても、100%ミスマッチが無くなる訳ではない。ですが、たとえ入社後にミスマッチが起こったとしても
では、気持ちの持ちようが全く違います。
一度風呂敷を広げてから絞る行為の大切さを知っていただけましたか。
そして「一度風呂敷を広げてから、絞る」ために役立つのが四季報の業界地図。
凝り固まっていると、どうしても自分の興味のある分野に偏って業界研究をしてしまいがちですが、業界地図はほぼ全ての業界を、フルカラーかつ多くの図説で読みやすいので「就活を抜きにしても、単純に面白い読み物として世の中のビジネスを知れる」ことが大きなメリット。
更に業界地図を買いたくなる説明
ほとんどの業界に「もうけの仕組み」「最近の業界トレンド」の図説がある。その年に話題になった流行りのビジネス用語、技術用語の項目もある。
もちろん専門に勉強しようと思うと物足りなさは感じるが、就活生にとっては多すぎず少なすぎず必要十分な知識。
また、入社すると、実は思った以上に全く異なる業界の企業とお付き合いがあるのだが、取引先の職種やビジネス構造を知ることにより営業や提案に深みが増すだろう。様々な業界のビジネスモデルは知っておいて絶対に損はない。社会人になっても、業界地図で勉強する人も多いのだとか。
【中級】業界トップクラスの会社説明会に参加する
これは単純に
↓
人事は採用において優れた学生を選び放題
↓
比較的、能力の高い社員が多い
↓
人事も優秀で説明がわかりやすい
↓
座談会に参加する社員も優秀で説明がわかりやすい
という論理。
とはいえ、業界トップにも関わらず、どうしようもないくらいつまらない説明会もありますが。
また、あくまで業界トップからの視座の説明であり、考え方に偏りがあったり、労働環境が全て同じだという誤認識はしないように注意が必要。あくまで

業界トップの企業は業界の将来をどう考えているのか。仕事の仕組みはどうなんだろう。ネットでは調べられない内容を聞きに行くのだ。
という認識で。
せっかく電車に乗りわざわざ向かうのですから、最低でも90分以上の説明会をおすすめします。それ以下の時間の説明会の場合

採用ページでわかるような浅い内容しか得られなかった
とがっかりする傾向が強いです。
ちなみに、合同説明会は基本的に「人が多すぎて人事の説明が全く聞こえない」「時間が短く内容が浅い」「合同説明会に参加したかなんて数えてない」ので合同説明会は行く必要全くなし。
企業が独自に開催する単独説明会に行くべきです。

実は、企業側も無駄だと思いつつ、主催元の人材会社にお願いされてしぶしぶ合同説明会に参加しているのだとかいう噂も。
【上級】本音で聞ける人にOB訪問する
ここまでの2ステップ、業界地図と会社説明会で恐らく、業界はどのようなビジネスモデルか、将来性はあるのか、職種は何があるのか、そして、やりがいや大まかな仕事内容は理解出来るはず。
きっとまだ少しぼんやりとしたイメージでしょう。
大勢の学生が参加する説明会と座談会では、単発の質問しか出来ずに時間も短い。
また、いくらざっくばらんに話してくれると人事が怖いくらいの笑顔で言っても、闇が深い部分までは話さないでしょう。
そこで、OB訪問が役に立ちます。

OB訪問って社員さんと1対1で質問しまくるんでしょ?敷居が高い…
と億劫に感じられる方がいるかもしれませんが、主体的に行動する習慣をつけるチャンスだとポジティブに考えて、ぜひ動いてほしい。
とはいえ、単にOB訪問と言っても相手が誰でも良い訳ではないです。
あなたがもし、人事にゴマを擦る目的ではなく、純粋に企業で働く人の本音を聞きたいという目的であれば
採用活動に関わりを持たない社員にOB訪問をすることが大事。
会社から直接社員の紹介を受けるシチュエーション、例えば、OB訪問の際に社員が会社名義でカフェの領収書を切るようなシチュエーションだと全てを聞き出すことが難しい。
就活生側としても「もしかしたら、OB訪問の状況が人事に伝わっているかもしれない…」と、不安。
実際、多くの場合は伝わってることが多いですが。その中で、本音を探るのは難しい。
社員としても、会社を嫌いになっては欲しくないため、どうしても企業側のポジショントークとなってしまう。
そもそも、会社経由でやってくる社員は「会社に満足している」お手本社員ばかり。「会社に不満足で、いつか転勤してやる…」な社員とは出会えないかも。
彼らであれば、素直に仕事で辛い気持ち、出世事情も教えてくれるかもしれません。もちろん、ざっくばらんに話してくれる可能性が高いとはいえ、相手は人間ということを忘れずに。
たんに

年収は?仕事は辛い?
ではなく

自分は業界選びにおいて、仕事で辛いことが耐えられるかを大切にしている。言える範囲で構わないので、~さんがどんなストレス抱えているか、同期から頻繁に聞く愚痴を教えてほしい。
のように、自分の曝け出し、具体性、熱意を加えることが大切。
「自分が社員として相談を受けたとき、どんな人だったら、必死で解決するだろう」と、いま書き出してみてください。きっと、今後の人生で役に立つはずです。
OB訪問の際には、実際に自分が聞きたいことを最低10個は書き出して、準備しておきましょう。その過程での気付きもあるかも。
この記事ではOB訪問については簡潔にまとめましたが、この記事の最後にOB訪問における注意点等を詳しく説明した記事を貼り付けておきますので別途参照してください。
企業研究は「面接で使えそうか」を最重要視する
OB訪問を知ったあなたは既に企業研究に1歩踏み出しています。業界研究の仕方を理解したら次は企業研究へとステップアップ。
そもそも、まず初めに、企業研究は何のために行うのか。
- 内定を得る武器になるから
- 本当に自分の納得できる環境で働くため
1つ目について。
理由は2つ。
- 学生時代に頑張ったこと、強みなどでは大きな差は付けられないから
- 面接官の及第点が厳しいうえ、企業研究不足はごまかせないから
正直に言えば、学生時代に頑張ったことや強みに関しては大体の学生は似たようなことを話すので大きな差はつきません。
また、定量的な評価も難しいので、面接官の「なんとなくの印象」が採点基準になってしまいます。
例え、エピソードが嘘だとしても、深堀に対して論理的な回答を続けていれば面接官は納得してくれるでしょう。
なぜなら、面接官はあなたの話すサークルやバイトの背景知識を持っていないから。理屈さえ通っていればいいのです。
面接官は会社での実体験を持っており、就活生よりも圧倒的に企業のことを知っています。
だから「君のやりたい仕事は、うちではやってないんだけど…」「それはライバル会社の方が合ってるんじゃないかな…」とバッサリ言い切れます。
評価基準も自己PRの時とは違い「それはうちの会社を良く理解しているね」「うちはその分野強くないし、認識が甘いのでは?」と、はっきりとマルバツがつけられます。
そして「わが社への理解が足りていない…」と思われた学生はどうなるでしょうか。
面接は選考が進むにあたって面接官の年次が高くなる傾向にありますが、彼らは「仕事が辛い」と不満を吐きつつも2,30年働いてきたわけで当然会社への愛着もあるでしょう。
長くなりましたが、内定を獲得するために企業研究は大切だということ。
企業研究をする目的の2つ目は、入社後に自分の納得できる環境を得るためと説明しました。
福利厚生、残業、成長、ネームバリュー、社員の雰囲気の情報がないと、自分が働ける環境かわからないのは当然。
とはいえ、2つ目の理由は無意識的にやっている人が大多数。ですので、企業研究をする際は1つ目の就活で使えそうかを特に意識すると面接で役に立つことを覚えておいてください。
【初級】企業口コミサイトVorkersを利用する
実は説明会の前に調べておくことをおすすめするのが企業の口コミサイト。
企業口コミサイトは
- 実際に働いている社員の
- 説明会では聞けない生の声が
- 座談会のようにその場の即興で考えたものではない、まとまった文章で得れる
ことから、かなり価値の高いものです。
就活生におすすめなのが、Vorkersというサイト。
全部の口コミを見ようとすると、キャリタス等の別の就活サイト(無料)に登録するか、30日間で1000円の課金制ですが、転職支援サイトの中では断トツでおすすめ。
他サイトと比較したときに
- 総合職の口コミの割合が多い
- 断トツでみやすい
点で優秀。
総合職と、派遣やアルバイトさんの雇用形態は全く違うため、立場によって企業に対する従業員の評価が180度変わる会社もあります。
他の口コミサイトだと、かなり混じったデータがそのまま企業の平均評価として扱われている場合が多い。
一方でVorkersは、総合職としての立場のレビューが格段に多い点からも、転職サイトからの情報は基本的にVorkersだけで十分。
評価はレーダーチャートで可視化されてわかりやすいですが、レビュー者の主観であるので高ければ高いほど良いとは限りません。特に業界が違えば同じ評価3でも全く年収が違ったりするので、同じ業界で比較すること。

余談ですが、Vorkersに株式会社ヴォーカーズのレビューもあるのは笑った。
【中級】企業説明会に参加する
恐らく、Vorkersで気になる企業のレビューを読みまくったあなたは

こんだけ情報があるんだから、説明会なんて行かなくていいや
と思うかもしれません。

いいえ。説明会には絶対に行ってください。
企業によっては説明会に参加したかどうかを記録しているところも多く

あれ?君、うちが第一志望らしいけど、説明会には来ていないの?

…
とても気まずい。
ただ、そのような表面的な理由だけでなく「説明会でしかわからないこと」も多くあるからです。
企業の口コミサイトの弱点は
- 具体的な仕事内容までは書いていない
- 同業他社との比較の情報が乏しい
- 情報が新しいとは限らない
- 会社が良いレビューを書かせているかもしれない
- 新卒よりも転職者に向けた目線で書かれている
ところ。
ネットの評価だけでは「実際にどういうことがしたいの?」「何故うちの会社なの?」といった、面接で絶対に聞かれるであろう質問には弱い。
就活に消極的で家から出たくない学生でも手に入れることの出来る情報だけでは、もちろん差が付かない。実際に説明会に参加し座談会で積極的に質問することが必須。
かと言って、実際の社員の雰囲気を感じろとまでは言いません。
なぜなら、採用活動で出てくる社員は当然、多かれ少なかれ取り繕っている部分も多いから。
OB訪問の項目でも触れましたが、人事が座談会に呼ぶ社員は会社でも模範的な人が多いです。
会社で無能扱いされてやる気もない社員を就活生の前に出す訳わけがありません。
学生とはいえ、企業からするとまだお客様。体育会的だとか、意思決定が昔ながらにお堅いだとか、会社の雰囲気に関しては、ネットの情報を抽出した方が正確に表しているかもしれません。
【上級】IR情報を利用する
そもそもIR情報とは何かを知っている就活生の方が少ないかもしれません。株式投資の経験が無ければ、なかなか触れる機会はないですから。
IR情報とは、上場している企業が投資家の皆さんに

事業はこんな感じで進めてますよ。こんな経営方針でいきますよ。ちょっと利益が下がったけど将来への事業投資したから許してね。
と公開する情報のこと。企業のHPをみれば、だいたい「IR情報」という項目があるはず。
上場している企業は、実は社長が一番偉い訳ではなく、その上に株主がいます。株主が一番偉いのです。
だからこそ、どの企業もIR情報の開示には割とガチで取り組んでいます。役員だって、株主に怒られたくない。
「IR情報なんて読み解けるのか」と思うかもしれませんが、投資家が見るべきポイントと比較すると就活生は少しだけで良い。
とはいえ、そもそもIR情報を読んだとしても簿記や財務の知識がないと何を言っているのか全くわからないと思うので必要最低限のポイントだけ挙げていきます。有価証券報告書まで目を通すのは、もともと知識がある人だけでいいです。
pdf形式の株主説明会資料にエッセンスが詰まっている
優しい企業だと説明会の様子を動画をあげていたりするので、それも利用しながら。
このパワポは株主説明会という、株主の鋭い質問に答えなくてはいけない役員陣が一番嫌うイベントで使われたもので今年一年の振り返りや将来への展望を説明しています。
この説明会で社長が訳わからないこと言ったり、雑なパワポを見せると、投資家に振り向いてもらえないので割と丁寧に読みやすく出来ているはず。
セグメント別売上高と営業利益率で会社の強みがわかる
会社の規模が大きい場合、どこが稼ぎ頭か、伸びている部門はどこか、を会社自身も知る必要があるので、部門別や地域別にわけています。
セグメント別で分析することによって、例えば「この会社はコンサルが稼ぎ頭なんだな」「海外の中でも東南アジアへの売上が多いんだな」とわかります。
そこから「会社ではコンサルの立場が強いだろうな」「東南アジアへの出張が多いかもしれないな」と想像できるわけです。
営業利益率は、売り上げに対してどれくらいの利益を出しているかを示しています。
例えば、700円のラーメンを1杯売って70円の利益が出たら営業利益率は7%。実際に、どれだけ会社に利益をもたらしているかを示しています。いくら売上高が高くても営業利益が赤字なら、社員が奮闘しているのに、むしろ会社からお金が出て行っているという痛い状況。
ちなみに初めて売上高の表を見る人は桁がわかりづらいかもしれません。
「百万円」という単位は見慣れないかもしれませんが、実は簿記では一般的。
会社員になっても使うことは多いと思うので、わかりやすく億に換算する癖だけはここで覚えましょう。
下2桁目の前に小数点を打つこと
例えば「3567百万円」なら35 .67とコンマを打つことで「あ、35億ちょっとだな」とイメージしやすい。
中長期計画が明確な企業は伸びる
中長期計画は会社としてどのような方針で経営を行っていくかを示したものです。
「今後はこの分野を伸ばしていく予定だ」「話題の技術に対してどのように取り組んでいるか」「部署の再編成をします」等、入社してからも重要になってくる情報が詰まっています。
ちなみに「有価証券報告書の「事業等のリスク」の項目を見れば企業の課題点が見える」のような趣旨が書かれているサイトもありますが、事業等のリスクには日常生活におけるほぼ全てに当てはまることが書かれているので全く意味ないです。
「新市場開拓における投資回収のリスク」とか。そりゃそうだ。
ネット通販の会員登録の際に、恐らく誰も読まないでチェックを付けるご利用規約と一緒です。
IR情報は万能ではないと認識しておく
とはいえ、業界によっては就活生にはほとんどためにならない説明会資料も多いです。
例えば、製薬会社に関しては、開発品の進捗状況や個別の医薬品の売り上げ状況等が説明の大部分を占めてしまい「就活で活かす」面についてはイマイチな情報しか手に入れられない場合もあります。

「IR情報を見れば会社について理解できる」という極端な考えは駄目。あくまで参考資料として使ってください。
【上級】OB訪問をする
これについては別の記事にて詳しく説明したいと思います。
- そもそもOB訪問、OG訪問はするべきか
- OB訪問のメリットとは
- OB訪問をする際の注意点
- OB訪問を最大限に活用するために
